大判例

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東京高等裁判所 昭和41年(ネ)1095号 判決

法が株式会社ないし有限会社の代表取締役につきいわゆる共同代表制度を認めたのは、代表取締役による代表権の行使を慎重ならしめるとともに代表取締役相互の牽制によつて代表権の濫用を防止しようとの趣旨から出たものと解されるから、共同代表取締役の一員が他の共同代表取締役の意思にかかわりなく単独に会社を代表してした行為が会社に対して無効たるべきことはもちろんであり、また共同代表取締役の一員が他の共同代表取締役から包括的にその権限の委任を受けて代表権を行使することも前記制度の趣旨は没却せられるから、許されないものというべきである。しかし、共同代表取締役の一部の者が、他の共同代表取締役から特定の事項について個別的に委任を受けて代表行為をする場合には、これを別異に解しなければならない。けだしかかる場合にはその委任をした共同代表取締役も他の共同代表取締役を通じて自らの意思にもとずく代表行為をしているというべきものであつて、その代表行為はひつきよう共同代表取締役全員の意思によるものであり、代表権行使の慎重は保たれ、独断専行による権限の濫用ということはほとんどなく、前記制度の趣旨に背反するところがないからである。従つてこのような特定事項についての個別的委任による代表権の単独行使は許されるものと解すべきである。もつともこれを許すことにより当該特定事項に関する限りなお代理権が濫用される余地なしとしないけれども、これはすべて代理人による権限の行使一般についていいうることであつて、あえて共同代表の場合に特有の問題ではなく、これを防止するには別個の工夫をもつてすれば足りるのみでなく、これを許すことによつて生ずる会社の取引活動の便利さと比較考量するときは、前記結論を否定しさる理由とはなし難いというべきである。

(浅沼 間中 柏原)

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